誤字院原の検討
展覧会の準備を進める望達。
千里がきっちり、かっちり飾った逆さ富士の絵、一変のズレもなくきっちり
飾られた絵をうっとりと眺める千里に、あびるは言う。
「その絵、上下逆さま」
大ショックを受ける千里を尻目に、望は、そういうのはよくある事だと言う。
実際フランスの美術館でモネの「睡蓮」を専門家であろうスタッフが誰も
気付かないまま逆さまに展示してしまった事があるらしい。ものごととは
大抵そんなもので、人間は小さな間違いには気付くが、大きな間違いには
気付かないものだと望は言う。今回の展覧会の主旨について突然説明
し出す久藤。今回の展覧会の趣向は「気付かれなかった大きな間違い」
だったのだ。展覧されているものを観賞すると、そこには
4アウト目に気付かなかった時の球、解答欄が1ずつズレていた上に
解答欄がズレてなかったとしても点数の変わらない日塔の答案、小指が
折れたかもしれないと気にするあびるのあらぬ方向へ曲がった足を思い出させる
包帯、「大きな症状ほど気付かない!」命は言う。そして漫画業界、
細かな誤字や写植ミスには気付くくせに大きなミスには気付かない の宝庫。
今までのそういう現象に、可符香は言う。
「世の中には大きな間違いに気付かないフリをする、人々の優しさが
 満ちあふれているのです」

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