多蕗の回想 日傘の母 僕がピアノを弾いていた頃
*籠から出られなくなった理由。かつて僕は天才だった。
 僕の夢はお母さんの夢だった・ピアノと弟と…

多蕗の母はピアノが好きでピアニストだった男性と結婚、しかし多蕗が
生まれてすぐに離婚。離婚理由はその男性に才能がなかったからとか。
母はすべての期待を多蕗に求め、多蕗は友達も作らずにピアノのレッスン、
唯一の友達はレッスンの邪魔にならないだろうからといって買い与えられた
小鳥だけだった。その後、母は新進気鋭の作曲家と再婚、弟が生まれた。
多蕗は、まだ幼い弟に天才的な才能があるのがわかり、このままでは
母に捨てられてしまうと思った。それならば、今、まだ自分が一番の時に
時を止めてしまえば、母は続けていたら多蕗の方が一番だったと
慰めてくれる、もしかしたら、可哀相な自分を今までよりも愛してくれる
だろうと思い、ピアノの蓋で自らの手を潰し時を止めた…

しかし多蕗の思惑は外れ…
鳥籠はさびて、鳥は外に出られなくなった…

後は続きからどうぞ